本と韓ドラのメモ

読んだ本、視聴したドラマの記録。

宇宙の片すみで眠る方法 (畑野智美)

大学時代から8年半付き合った婚約者、直樹を事故で亡くした依里。大阪出張のはずがなぜか年上の女性と東北の温泉宿に泊まりその帰りにバス事故に遭ったのだ。

直樹を失った喪失感と裏切り、言葉にできない感情に苛まれ、眠れなくなった依里だったが、親身になってくれた寝具売り場の店長と出会ったことからそこで働くことに。そんな折、直樹と一緒にいた女性の夫、高橋が店を訪ねてきた・・・

 

依里がどんなふうに立ち直っていくのか?依里と高橋はどうなる?直樹と女性の関係は?そんなことを気にしながら読んだが、ドラマのようにはならなかった。

眠れなくて仕事も辞めていたが、デパートの寝具コーナーで働くことができるようになってまず良かった。

そこで寝具の勉強をして、睡眠に悩みを持つ客にアドバイスもできるようになるのだが、著者の畑野智美さんが寝具売り場での仕事の経験があったらしく、詳しい寝具の話や説明があって読んでいてとてもおもしろかった。質のよい睡眠か、、。枕の寿命は3年らしい。あとムートンのシーツ?がとても気持ちよさそうで、いったいどんなモノなのか画像を検索してみたりした。

職場での職員同士、客との距離感は少し意外だったがなるほどと思った。

 

モラハラと依存

二人にその自覚がなくても、モラハラだったのか・・・?依存も。

直樹と出会ってからは自分の夢も諦め、直樹のことが好きだから「直樹のために直樹の望むうように」生きてきた依里。そんな日々の積み重ねがそうなったのかなと思った。

頭の良いしっかり者だが、何事も丁寧に考えてから動く人。多分考えている最中に直樹が結論を出してしまって、依里は同調してしまう・・・。

そういうこと一つ一つの積み重ねが、後である意味「依存」だったり「モラハラ」になるのかもしれない。

でもそれをわかった上で、とにかく今は自分の足でしっかり歩いていこうとするのは応援したくなる。そういうふうに自立できるのなら、またいつか1人じゃなくて誰かと寄り添って生きるのもいいんじゃないかと思うけどね。

妻を亡くした高橋が偶然店を訪ねてきたことから始まる不思議な関係だったが、高橋の人柄に依里も救われたので余計にそう思った。

最後になったが直樹の事情もわかってよかった。

 

 

 

炭酸水と犬(砂村かいり著)

この本はインスタグラムで見つけた。表紙のデザインがピンクと水色で可愛いのに切なくて、そして「もうひとり、彼女ができたんだ」という言葉にびっくりして読むことにした。

 

books.rakuten.co.jp

 

「もうひとり彼女ができたんだ」

付き合い始めて9年、同棲して4年の彼(和佐)から告白されるところから始まる。もうひとり彼女ができたけど今の彼女(由麻)と別れるつもりはないのだと・・・。

由麻の気持ちは手に取るようにわかるしこれからどう対応するのか?二人の未来は?そしてどんな結末を迎えるのか想像できなかったが、由麻が幸せになれるようにと願いながら読んだ。

 

和佐の言動が、何を考えているのだか、彼女(由麻)のことをいったいどう思っているのか?ちょっとイライラさせられる。

「誠意」なのか?「由麻にはちゃんと謝った」とあっけらかんと言ったり(謝ってすむ問題じゃない)、もう一人の彼女を優先したにもかかわらず何もなかったように普通に由麻に接したり・・・。そうするしか他なかったのだろうが、その誠意は自分本位なんじゃないかと思った。

和佐って何かが足りない気がしていて、それが何なのか?真先(和佐の弟で由麻が好き)の登場でわかった。真先はちゃんと由麻の気持ちに寄り添ってあげられるからそこかな?

それだけ新しい彼女に惹かれているということかもしれない。生き方まで変えてしまうのだから・・・。

 

真先が出てくるたびに和佐じゃなくて真先でしょと望んだ私だが、9年間も絶望の片思いをしているなんて純粋すぎて泣けてしまう。由麻が自分の気持に気付いてくれて良かったねと言ってあげたい。

 

和佐は彼女のことを「聴いたことがない音楽が聞こえてくる」と言い

由麻は真先(和佐の弟)のことを「宇宙を漂う孤独な原子が結合すべき原子を見つけたみたいな気持ち」だと言う。

美しい表現だと思った。そして一方は音楽でもう一方は物理で対照的だったのがおもしろい。

「原子が結合すべき原子を見つけた」にはこれ以上ない安定感があるが、「聴いたことがない音楽」には惹かれるだろうし新しい自分になれる気もするが不安定さも感じる。イライラさせられた和佐だったが、ここからうまく歩いていってほしいと思った。

 

 

 

水たまりで息をする(高瀬隼子著)

夫が風呂に入らなくなった。夫が、何も起こらない二人の生活が、静かに変わってゆく。

この文章に引き込まれて一気に読んだ。

 

あることがきっかけで風呂に入れな書くなった夫。水が臭くて皮膚が痒くなるというのだ。どうして風呂に入れないのか彼自身にもわからない。早いうちにどこかで診てもらったほうがいいのでは?と読んでいる方が焦る。

当の夫は仕事には行くしご飯もちゃんと食べて風呂に入らない以外はいたって普通なのだ。だから妻は結局その原因を突き止めて良くなるように動くでもなく、無理やり風呂に入れることもせず、そういうしているうちにきっかけをなくしてしまうよと言いたくなる。でもその感じよくわかる。

 

しかし妻の取った行動は

仕事をしている以上少しでもキレイにと思った妻は風呂場でペットボトルの水を使って、次の段階は雨に濡れて身体を流す日々。内心では葛藤しながらも夫が傷つくことはしないし言わない。妻として寄り添おうとしていて少し心配になった。

そして最終段階は妻の実家近くの川で水浴びに通うようになり、結局移住することになる。初めての川での水浴びの様子がキラキラとして、その様子を思い浮かべながら妻の衣津実はあんなふうになってもやはり夫のことが好きなのだと思った。

 

そうしながらも、衣津実自身の考えや気持ち行動に対してもう一人の自分が自分を責めたり一般論みたいな答えを出したり、彼女自身がいつも「こうしなきゃ」ということと戦っていたような気がする。

夫に対して、臭いとか気になるが彼が傷つくことは言わないし

ーー人が通る河原で夫が裸になって川に入り始めるなんてありえないと思っている反面でもしここで夫が服を脱ぎ始めたら・・・と想像が広がる。いったい自分は夫のことをどう考えているのだろうか?ーーと思う場面とか

大雨の日、ーー夫が心配で必死に探すが川の水の勢いが激しく「取りつく島もないなあ」と思った自分にずいぶん軽い悲しみの込められていない言葉だーーと思ったり、

ーーいろんな考えは浮かぶが運動靴に履き替えられないほど自分は焦っていて、それがまるで愛の証明であるかのような気がして安心する。安心すると気づいてまた自分を責める。ーーそういうシーンが印象的だ。

 

最後、ーー家の風呂場にいるはずがないと思っても探しに行って、夫は風呂に入らない人だった。風呂くらい入らなくてもいいよと彼女は本当に思うことができたのに、本当にそう思っているのだと夫に伝えることはできなかった。ーー

 

衣津実はそういう葛藤を抱きながらも次第に夫を受け入れていて、最後自分のほんとうの気持ち(夫を愛していた)に気付いたのかなと思う。そして救われたとも思った。

水たまりで息をするとは、そんな葛藤の中での息苦しさをあらわしているような気もするし、あの平穏な日々、おままごとだと義母に言われたそんな日々のことのような気もする。