この本はインスタグラムで見つけた。表紙のデザインがピンクと水色で可愛いのに切なくて、そして「もうひとり、彼女ができたんだ」という言葉にびっくりして読むことにした。
「もうひとり彼女ができたんだ」
付き合い始めて9年、同棲して4年の彼(和佐)から告白されるところから始まる。もうひとり彼女ができたけど今の彼女(由麻)と別れるつもりはないのだと・・・。
由麻の気持ちは手に取るようにわかるしこれからどう対応するのか?二人の未来は?そしてどんな結末を迎えるのか想像できなかったが、由麻が幸せになれるようにと願いながら読んだ。
和佐の言動が、何を考えているのだか、彼女(由麻)のことをいったいどう思っているのか?ちょっとイライラさせられる。
「誠意」なのか?「由麻にはちゃんと謝った」とあっけらかんと言ったり(謝ってすむ問題じゃない)、もう一人の彼女を優先したにもかかわらず何もなかったように普通に由麻に接したり・・・。そうするしか他なかったのだろうが、その誠意は自分本位なんじゃないかと思った。
和佐って何かが足りない気がしていて、それが何なのか?真先(和佐の弟で由麻が好き)の登場でわかった。真先はちゃんと由麻の気持ちに寄り添ってあげられるからそこかな?
それだけ新しい彼女に惹かれているということかもしれない。生き方まで変えてしまうのだから・・・。
真先が出てくるたびに和佐じゃなくて真先でしょと望んだ私だが、9年間も絶望の片思いをしているなんて純粋すぎて泣けてしまう。由麻が自分の気持に気付いてくれて良かったねと言ってあげたい。
和佐は彼女のことを「聴いたことがない音楽が聞こえてくる」と言い
由麻は真先(和佐の弟)のことを「宇宙を漂う孤独な原子が結合すべき原子を見つけたみたいな気持ち」だと言う。
美しい表現だと思った。そして一方は音楽でもう一方は物理で対照的だったのがおもしろい。
「原子が結合すべき原子を見つけた」にはこれ以上ない安定感があるが、「聴いたことがない音楽」には惹かれるだろうし新しい自分になれる気もするが不安定さも感じる。イライラさせられた和佐だったが、ここからうまく歩いていってほしいと思った。