本と韓ドラのメモ

読んだ本、視聴したドラマの記録。

針と糸(小川糸)

インスタグラムで「針と糸」という本を知り読んでみた。

 

小説かと思ったらエッセイで、日本はもちろんベルリンやラトビア、モンゴルなどいろいろな都市での暮らしの様子を著者の視点で思考を交えながら書かれていて、とても興味深く読んだ。

日本に住んでいて気付かないこと、何かおかしいと思ってもその何かがわからないことが外国で暮らしてみて気づくこともあるだろう。これは「寂しい生活」や「ヘルシンキ生活の練習」を読んだ時と同じ感想で、豊かさとは何か?幸せとは何か?考えさせられる。ベルリンでの生活が少し羨ましい。「便利」とか「新しいもの」をこれ以上追求するのではなくて、視点を変えるというか振り返ってみることも必要なんじゃないかと思った。

 

そしてお母様との確執も赤裸々に書かれていたのは衝撃だった。

お母様は感情の起伏が激しく一旦怒りモードになると子供に暴力をふるっていたとのこと。学校の先生に毎日提出しなければいけない日記があったのだが、そんな実情を書けるわけもなく、物語や詩を書いてごまかしたとあり胸が痛くなる。しかし先生がそれを読んで喜んで感想をくれるものだから嬉しくてまた熱心に日記を書いた・・・・・。結局書くことを与えてくれたのがお母様だったとはね。何がきっかけになるのかわからない。

そして理不尽な暴力に耐えながら日記の中でだけ現実を忘れ自由になることができたらしい。何だか痛々しいしいじらしいし、同時に生きるたくましさも感じた。

お母様とのわだかまりは解れたのだろうか?子供心に受けた傷はこんなにも長く影を落とすものなのかと改めて思った。

年老いたお母様とのやりとりが少し淡白だと思ったが、離れて暮らしていればそうなのかもしれない。

 

つらい時こそ笑う。朗らかに健やかに日々を楽観的に過ごす。人生何とかなるよ。という言葉はいつもなら楽観的すぎると思うが、著者の言葉なら心にしっかり残る。忘れないようにしようと思った。

ラトビアの十得は10は無理でも実行してみたい。

 

世界でいちばん透きとおった物語(杉井光)

インスタグラムで見かけてタイトルに惹かれて読むことにした。

 

ミステリー作家であり父親の宮内が亡くなりその遺稿を探す話。父親とは会ったこともなく、母の手一つで育てられ二人ひっそりと肩を寄せ合って暮らしてきたがその母も亡くなった。編集者の霧子の協力のもと手がかりとなる人たちに会い、霧子の助言を元に調べるのだが難航する。

 

「世界でいちばん透きとおった物語」は宮内が死際に書いた物語のタイトル。それだけは決まっているが未完成。どんな物語を残したのかわからないまま進んでいく。

会ったことがなかったとしても父親なら自分の息子へ特別な想いがあったに違いないということだけはわかる。終盤になっても全貌がよくわからないままでラストを迎える。

 

宮内が亡くなって未完成のままの作品を燈真の言葉で引き継いで完成させることについて

「けれど物語は言葉を届けるためにはできていない。祈りと同じで届ける相手を選べないからだ。ただ密やかに水底で待ち続けるだけ。透きとおっていれば だれかが見つけてくれる」(233頁より引用)

と書かれていて燈真の思いでもあり宮内の思いでもあるのだろう。その表現が哀しいくらい美しいと思った。

そしてそれが「」の言葉も示していることに気づく。

 

最後の「」の5文字は何と書きたかったのだろう?自分なら何と書くだろう?やはり「ありがとう」しかないのではないか・・・。

そんな事を考えながらラストの「」を見つけた瞬間、鳥肌モノに感動した。それは宮内の言葉であり燈真の言葉。

そして、それは目の後遺症で紙の本が読みにくい燈真のためのものだったことがわかる。見開きの文章のレイアウトを左右対称にする。一文が次頁へまたぐことがない、次頁の文字が透けないなどの工夫がされていたことがわかり、宮内の思いに胸が熱くなる。

 

燈真にとっては、母と二人で細々と生きてきたので父親は要らないと思っていたのに、今になってどうして?かき乱されるような思いはもちろんあっただろうが、次第に別の感情もわいたはず。だから「かき乱される」のだ。

宮内にとって燈真と母は特別な存在だったのだろう。頼らないと決めたものの燈真の手術の費用は宮内に頼るしかなく、宮内は離婚して家を売って工面した。母親は少しずつ返そうとしたが、そのお金には手をつけることはなく、なので宮内は母の死も知らずに亡くなった・・・。何だか泣けてくる。

 

これは杉井光さんが書いた本だが、燈真が書いた物語という不思議な感じ。

そして読み終わって、今読んでいたこの本自体がレイアウトの左右対称、一文が次ページにまたぐことがなく、次頁の文字が透けない。そうなっていることに衝撃を受けた。

韓国ドラマ ボラ!デボラ〜恋にはいつでも本気

次々と新しいドラマが配信されて、おもしろそうだと見始めても途中でやめてしまったドラマの多いこと。最近私の韓国ドラマへの興味が薄れてしまったのかと思ったりしていた。

そんな時、Youtubeで知ったこのドラマ。ラブコメだから軽る〜く楽しめればと見始めたが最後まで楽しませてもらった。

 

恋愛を分析して恋愛勝者になれるようアドバイスをする恋愛コーチのボラ(ユ・インナ)。自身の恋もうまくいっていると思っていたのに実はそうではなく失恋して・・・。そしてどん底から立ち直っていくという話。

スマートで完璧なアドバイスをしていたボラだったが、実際のボラは失恋で泥酔し人前で暴言を吐き醜態を晒し、更に頭ボサボサ泣き腫らした顔のパジャマ姿で元彼にすがるという正反対の姿だった。

 

このドラマ、とにかくボラがキュートで可愛くて面白かった。ユ・インナが彼女らしく演じていて好感が持てた。声も可愛いよね。

 

スヒョク(ユン・ヒョンミン)とは本の出版で知り合うが、恋愛に戦略的なボラに対して心が大事でボラに少し反感を持っていた。

そんなスヒョクだったが、こんな時はきっとこういうセリフを言うだろうと思っていたらボラに掛ける言葉が想像を超えていて考えもしないセリフだったことがとても新鮮だった。それがスヒョクの印象。

しかしここで言わなきゃいつ言うのという大事なところでは出てこないのがじれったいね。「言わなくてもわかってるだろう」それだけで上手く行けばいいけどね。やはり時には言葉は必要なんだと思った。

 

周辺の人たちの恋も描かれていたのも良かった。大事な時に大切な言葉を言えないスヒョクや、自分の状況や気持ちを伝えないまま離婚することになった代表のサンジン。気持ちはわからないでもないが、出版社のウリのサンジンに対する想い、ジノのボミへの想いは真っすぐで清々しい。駆け引きなんて関係なく幸せへ真っしぐらという感じで対照的だった。

音楽も心地よい。