「卵の緒」という本を読んでみた。
「僕は捨て子だ」という始まりで一気に引き込まれ、温かくて優しい話であっという間に読み終えたが、余韻が残る素敵な本だった。会話の文章が多いのも読みやすかった。
卵の緒と7"s bloodという2つの話。血の繋がらない家族だがお互いを大切にしていて、温かくてちょっと切ない物語だった。どちらも母親がおおらかで、出てくる子供はみんな素直で健気で愛おしくなる。そして出てくる料理がとても美味しそうだった。
卵の緒では、自分が捨て子だと思っていた育生に「たくさん愛されてて幸せだね。素敵なママだね。」と言ってあげたい。そして育生のイメージが後に出てくる父親にそっくりだと思った。
7"s bloodでは、七生が愛おしくてたまらなかった。愛人の子である彼は育った環境からか少し子供らしくないところがあるが、それも彼なりに一生懸命に生きた結果。二人の場面、特に七子と二人で腐ったケーキを食べたり、母親が亡くなってから眠れない七子を夜の散歩に連れ出したり、お互いに髪の毛を切り合ったり、最後の別れの場面など情景が強く心に残っている。11歳の子供なのにそっと寄り添うことができる七生。きっと育た環境もあるだろうけどね。昨年読んだ「ヨルノヒカリ」を思い出した。また二人が会える日が来ると良いなと思った。